kurashiの暮らし

シンプル思考でちょうどいい暮らしを見つけよう

実家の荷物多い問題

自分は少ないモノですっきり暮らしているが、実家はモノが多くて減らしたいって思っているミニマリストの方って少なくないのではないかと思います。

 

現在、実家には母が独りで暮らしています。

私たち兄妹のモノ、亡き父のモノ、食器、書籍、衣類、インテリア雑貨などなど、ありとあらゆる場所にモノが溢れています。「片付けられない」母ではありません。掃除も行き渡っていますし、インテリア好きで飾り立てては喜んでいて、母なりに暮らしを楽しんでいる様子ではあります。しかし、地震などの災害発生時に怪我をしないように、モノの管理が大変で体を壊さないか等々、安全安心の観点から少しでもモノを減らしてほしいと、子としては思うわけです。

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モノへの思い入れは人それぞれ

一昨年の夏、上記の観点を伝えて母を説得。帰省した際に一緒に片付けをすることになりました。一気に全部は不可能なので、何から始めるか聞いたところ「書籍なら」と渋々快諾。書籍だけでも相当な量の本が実家にはあります。むむむ。「よし!」と決意して帰省をしました。

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食事をしながら「明日は何時からはじめよう」「どれが必要で、どれが不要なのか指示してね。書籍は重いし腰を痛めたら大変だから俺がやるから」と伝えました。しばらく黙ったあとに母がこう言うのです。

 

 

「あの棚にあるモノも、あの部屋にあるあれも、今使っていないあの食器にも思い出があってさ。いまは独りで暮らしているけれど、思い出に囲まれているから寂しさが紛れたりすることもあるんだよね~」

 

と、うっすら笑顔で、でもどこか切ない表情で、そして細々した声で言うのです。

私は何も言えず黙り込んでしまいました。

 

私がしようとしていたことは、母のためにと考えたことでしたが、それはとんでもなく間違っていたのかもしれない。私は、自分の価値観を母に押し付けていただけで、母の思いは一切考えていなかったと、深く反省したのです。

 

私からすれば不要なモノでも、母からすれば思い出の詰まった大切なモノだってある。

それを私は「捨てよう」「処分しよう」「片付けよう」とまくし立て、母の心を傷付け、母の思い出を踏みにじろうとしていたのです。

 

きっと母は「息子は私のことを考えてのこと」と気を使って断れなかったのでしょう。

 

私は「そっか。そうだよね」と言い、片付けはもう少し考えてからにしようと伝えました。「せっかく帰ってきてくれたのに、ごめんね」と謝る母に、私は涙を堪えるのに必死で何も返事をすることができませんでした。

 

 

翌日、ふと庭に立って見回してみると、昔と変わらず草花がきれいに植えられていました。草むしりもこまめにしていることがわかります。鉢植えの配置も、自分が見て気持いの良い配置、来客にも見て欲しいという思いが伝わる配置です。

 

ひとりでこの庭を手入れするのは大変でしょうが、母はこの家と、この家での思い出を、ひとりで必死に守っているのかもしれないな、と感じました。

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モノの適正量とは?

翌日、母とじっくり話しをする中で気付いたのですが、あれだけのモノに囲まれて暮らしているにも関わらず特に母は困っていないのです。困っていないのに、息子が処分しろと言うものだから、それはそれは困惑したでしょう。

 

私にとっては「こんなにモノがあったら片付けが大変だし、管理できない!」とストレスに感じてしまうから不適切な量であっても、母にとっては、思い出と共に暮らす心地よさもあって、今のモノの量が「適正」なのでしょう。

 

モノが多い少ないの感じ方はそれぞれ。

モノの捨てる残すの判断基準もそれぞれ。

 

自分の中での「すっきり暮らす」基準を、他者に押し付けていけないのだと気付いたエピソードでした。

 

このエピソード、最悪は家族関係が悪化するなんて事態も発生しかねない案件だなーと思いました。

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母のその後

母は昨年喜寿を迎えました。足腰も弱くなっており、会うたびにどこが痛いだのという話しをしています(がその割に元気です)。

 

先日、実家にあるピアノを幼稚園に寄付することになり、それに向けて部屋を片付けたとのこと。現在ピアノは使っていないので、家族写真や賞状、雑貨が飾られていました。

 

「写真はね、額から出してアルバムに入れたの。ピアノが無くなったから、額を乗せる場所がないし、新しく買うのも面倒でしょ?ピアノの部屋を片付けてみて、こりゃ大変だって思ったのよ。やっぱり少しモノを減らさないといけないのかもしれないわね」

 

と、明るい声で私に言いました。

 

「夏に帰ったら手伝うから、それまでに何を片付けるか、ゆっくり考えておいてね」

と伝えました。

 

母が望んだ時が、片付けるタイミング。

私は何も言わず、その時が来たら動こうと心に決めています。

(災害時の事故防止チェックはするつもり)

 

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